学会発表_2002_1_内関穴における推拿刺激が激運動後の疲労回復に及ぼす影響

全日本鍼灸学会第51回学術大会,2002/06/7-9.つくば国際会議場

内関穴における推拿刺激が激運動後の疲労回復に及ぼす影響
   ー血中乳酸値を指標としてー

 李 強

key words: 推拿、内関穴、血中乳酸、運動負荷、疲労回復

【目的】競技スポーツについて、より短い休息時間を挟んで2回乃至数回の競技を行われる種目がある。これらの種目においては、休息中にいかに速く疲労を回復させるか、ということがスポーツトレーナーとして重要な課題となる。一方、激運動を行うと、筋活動で乳酸が産生され、筋疲労が生じる。西洋流のマッサージが筋肉へ刺激して乳酸の除去を促進できるという報告がある。本研究は、血中乳酸値を指標として、内関穴への推拿刺激が運動後に速かに疲労を回復させる手段となり得るかを検討した。

【方法】 被験者は某公立大学アメリカンフットボール部に所属する男子大学生10名とし、実験の趣旨を説明し参加に同意を得た。また、メディカルチェックにより全員が健康状態(特に呼吸循環系)にあることを確認した。各被験者にトレッドミル(西川鉄鋼社製:TREAD-MIL:NT-12)を用いて運動負荷試験を行った。実験手順として、安静期(5分)、80%HRmaxの運動負荷期(18分)、回復期(20分)に設けられ、被験者を推拿群とコントロール群に分けられ、実験を実施した。推拿刺激としては、強度1.5 kg、頻度120 time/minの拇指按揉法で被験者の左上肢の内関穴に5分間行った。血中乳酸値を各期直後及び回復期の10分後・20分後に測定した。血中乳酸濃度は、ラクテート・プロ(京都第一科学社製:LT-1710 TM)を用いて指尖部より採血を行い測定した。実験中に血中乳酸値の以外に、HR、RR、BPも測定し、運動時に主観的運動強度(RPE)も回答させた。各被験者はすべての実験を再現性の確認のため2回ずつ行った。

【結果と考察】コントロール群の無推拿刺激安静期の血中乳酸の平均値は2.1±0.78 mmol/l、推拿群の有刺激安静期は1.7±0.50 mmol/lであった。有意差(P<0.05)を示した。推拿刺激条件での運動負荷時及び回復期については、血中乳酸値や筋肉の作業能力の回復を早める傾向が見られるものの、有意差は認められなかった。運動時における内関穴への推拿刺激が血中乳酸に及ぼす効果を特定するのは、今後さらなる検討が必要であることが示唆された。

http://www.jsam.jp/meeting/pdf/ibaraki_4.pdf