学会発表_2000_1_がん患者における舌診の臨床意義 ―中医学臨床文献考察を主として―

がん患者における舌診の臨床意義
―中医学臨床文献考察を主として―
李 強、 鄭 賢国、施 毅、松浦義昌、清水教永

2000.10.21-22,第18回日本東方医学会,東京科学技術館

目的
舌診は、長い歴史を持っている中医学診断法である。舌を見て病気を判断することは、『黄帝内経』や『傷寒論』などの古典医書にすでに記載されている。舌診の一般的な臨床意義は、次の4点にある。①正氣の盛衰を判断する、②病氣の部位の深浅を判断する、③病邪の性質を区別する、④病状の進退を判断する。
一方、中医学によるがん治療の臨床弁証においては、みな舌象を重要な診察のバロメーターとしている。中医学による長年の臨床実践や基礎的な研究によって、多くの臨床意義を持つ舌診の文献は発表されている。本研究の目的は、これらの文献を厳選し解析を加えて、がん治療に普遍的な指導意義をもつものとしてまとめようとするものである。
方法
今回は、近年中国で発表されたがん患者における舌診の臨床報告や基礎的研究の文献をEBM(Evidence-based Medicine)の観点より検討し、文献の信頼性評価(批判的吟味)を加え、2次文献という形で文献のアウトカムをがん患者に適用することの妥当性を評価し、システマティック・レビューを行った。
結果と考察
1.舌質変化とがんの分期について
淡紅舌のがん患者は病変軽く浅い、早期、予後良好を示す。紅絳舌のがん患者は、中期>末期>早期の順に多くなる傾向が見られ、淡白舌のがん患者のほうが末期癌や悪液質が多い。また、青紫舌のがん患者はかなりの割合で末期癌を検出された。
2.舌質変化と弁証論治について
淡白舌のがん患者には清熱解毒の薬を投与すると、消化道副作用が起こしやすいが、青紫舌のがん患者には解毒の虫類薬を投与すると、お血症状が変えて酷くなるようである。
3.舌質変化と手術の予後について
術後舌質の色が浅くなる場合、手術成功・予後良好を示すが、術後舌質の色は深くなる場合は、回復が難しく・合併症を起こしやすい。
4.舌質変化と放射線治療について
淡白舌・淡紅舌の癌患者は、比較的に放射線治療の「熱毒」に忍耐できる。紅絳舌の患者は、放射線治療の「熱毒」に忍耐性がなく、副作用が現れやすいようである。その対策としては、照射は小量から始まり、清熱解毒・養陰生津の漢方薬を配合するといわれる。
5.舌質変化と抗ガン剤治療について
抗ガン剤の治療は淡白舌に奏効しにくい。その原因は①抗ガン剤の副作用に極めて敏感②消化道反応・白血球降下・血小板降下などが現れやすい③治療が続けにくい。対策としては、抗ガン剤を投与する前に、まず補氣養血・健脾益腎の漢方薬を服用させることが望ましい。
結論
癌患者における舌診の参考意義は、①癌の種類を弁別する②癌の病態を分類する、特殊意義は①癌の早期発見②癌の予後を推測する③投薬を指導する、ことにあると考えられる。しかし、癌における舌診の限局性があって、西洋医学の精密検査手段を先行的に使用すべきと思う。
Key Words: 舌診、がん、中医診断学、がんの漢方薬

学会発表_2002_2_少林内功試行時の脳酸素代謝動態について

少林内功試行時の脳酸素代謝動態について
(Changes of Oxygen Metabolism in the Cerebrum
during Shaolin Internal Qigong )

李 強、松浦義昌、坪内伸司、李 啓明、清水教永

2002.3.1-2,国際生命情報科学会第13回シンポジウム,東京工業大学

要旨: 本研究は、少林内功試行時における生理的反応を明らかにするため、近赤外線分光法(NIRS)を用いて脳酸素代謝動態を分析した。被検者は、少林内功の修練年数40年以上の経験を持つ55歳の男性1名である。椅座位安静時の平均酸素飽和度(StO2)は79.6%、少林内功試行時ではおよそ77~79%の範囲内であった。椅座位安静時の平均総ヘモグロビン(TotalHb)量は393.0cm・g/l、少林内功時では390~396cm・g/lの範囲内であった。椅座位安静時の酸素化ヘモグロビン(OxyHb)量は312.9cm・g/l、少林内功時では299~312cm・g/lの範囲内であり、いずれも椅座位安静時と少林内功時で有意な差は認められなかった。以上の結果から、少林内功熟練者は、自然呼吸により常に安定した脳内の血中酸素濃度や血液中のヘモグロビン濃度を維持し、脳内における経済的な酸素消費を促し、血中脱酸素化ヘモグロビン(DeoxyHb) 量の増加を抑制することが可能とするものであると推察される。

Keywords: Shaolin Internal Qigong, Near-infrared Spectroscopy(NIRS), oxygen metabolism, hemoglobin(Hb), oxygen saturation(StO2)

学会発表_1999_1_氣功と密教瞑想修練中の脳波theta waveについて

氣功と密教瞑想修練中の脳波theta waveについて
李  強、浅田 博、松浦 義昌、清水 教永、山口 雄三

1999.10.18-19,第17回日本東方医学会,昭和大学

【目的】
われわれは従来の研究により、気功、密教瞑想修練者では、瞑想中の脳波活動は、5.5-7.5Hz帯域の周波数が顕著に出現することがEEG変化の1つ特徴であると考えた。
【方法】
今回では、20名の気功、ヨ-ガ、密教瞑想修練者の中で、修練中にθ波をよく出現し、かつ熟練者であると認められる3名の被験者について、次の分析を行った。EEG Cartographyを用い、12部位(Fp1,Fp2,F7,Fz,F8,C3,C4,T5, Pz,T6,O1,O2)から単極誘導した脳波を5.5-7.5Hz帯域の間で、0.5Hzごとに60秒を1epochとして、Peak FrequencyとRatio of Maximal Spectral Intensityを求め、瞑想前安静閉眼、瞑想10分、20分、30分、39分区間よりそれぞれの脳地図を得た。
【結果】
瞑想中Fzにおいて、計算中に出現したFm θと類似した6.5Hzにピ-クのあるθ波が増大したことが認められた。また、計算中と瞑想中との脳電図の変化を比較検討したところ、両者の類似性が高く、一般にFm θは精神活動に伴なって出現するものと考えられている。
【考察】
瞑想中4.0-8.0Hz周波数帯域において、その際の等電位分布は、瞑想の時間的推移により、徐徐増大した傾向があり、いわゆるFm θ出現したものと認められた。Fm θと瞑想時のθ rhythmが生理心理学的にも精神神経科学的にも同様な特徴を有しているとすれば、両者が同一あるいは類似な出現機構を介していることが推測される。

学会発表_2001_癌治療に関する中医舌診文献の考察

癌治療に関する中医舌診文献の考察              李 強
2001.6.8-10,全日本鍼灸学会第50回学術大会,大阪国際会議場

【目的】
中西医結合による長年の癌治療の臨床実践により、多くの舌診文献は発表されている。一方、インターネットによる学術利用環境の整備は世界各国が競争しており、近年、中国でも様々な機関が中医学術情報データベースを構築している。本研究の目的は、中国に発表された舌診文献を検索し、癌治療に普遍的な指導意義をもつ、なおかつ鍼灸臨床にも役に立つ文献に対して考察を行うものとした。
【方法】
5つの中医学術情報データベースを利用し、舌診・舌象研究・癌症舌象・舌診与癌というキーワードを用い、この20年間の癌治療に関する舌診文献を検索し、検索された文献をEBMの観点より検討し、文献の信頼性評価を加え、システマティック・レビューを行った。
【結果と考察】
検索の結果として、合計約400件の関連文献があることが確認できた。また、中国抗癌協会・共同研究班報告書などの権威性がある文献によると、肝臓癌(51.4%)をはじめ、胆・膵・腸・肺・鼻咽喉癌の 患者には青紫舌が多く見られる。膀胱癌(46.7%)・ 甲状腺癌・乳腺癌の場合、胖大舌や歯痕舌が多く見られる。裂紋舌は、白血病(25.0%)・消化道癌・放射線治療期間中のほうに多く現れるという。そして、 淡紅舌の癌患者は病変軽く浅い、早期、予後良好を 示す。淡白舌(写真を参照)の癌患者のほうが末期 癌や悪液質が多い。青紫舌の癌患者は高割合で末期癌を検出される。
【結語】
癌における舌診の限局性があって、癌の陽性率は最高の青紫舌でも50%前後に過ぎないので、西洋医学の精密検査手段を先行的に使用すべきと結論づけられる。また、推拿や鍼灸による末期癌の痛み緩和などに携わっている方々は舌診法を取り入れてアプローチをする可能性が示唆される。

キーワード:舌診法・中医学データベース・学術情報・癌治療

学会発表_2001_2_人中診法に関する中医文献の考察

人中診法に関する中医文献の考察

李 強

2001,12.9,第21回全日本鍼灸学会近畿学術集会,和歌山県商工会議所

【目的】人中部、別名水溝、鼻下。『霊枢・五色』には「面王以下者、膀胱子処也」「唇厚人中長以候小腸」という記載がある。中医望診において、人中部の形態・色沢などを観察して体内の疾病を推察・診断する方法を人中診法という。中国では人中診法に関する研究発表は散在でありながら、注目すべき成果が挙げられる。一方、日本鍼灸界では人中穴を用いて臨床治療に応用するのは大多数であるが、望診の1部位とされる研究報告は稀のようである。本研究は、中医学文献データベースを利用して、人中診法に関する文献を検索し、その結果をまとめ、私見を加えて報告する。

【方法】「中国中医薬文献数据庫」をonlineして、人中診法というキーワードを用い、この20年間発表された文献を検索し、検索された文献を検討し、文献の信頼性評価を加え、システマティック・レビューを行った。

【結果と考察】人中の色沢・長さ・深浅・しわと隆起の有無を望診する。この中、人中の長さは診察指標として多く応用されている。人中短浅ものには不妊症・インポテンスなど、人中狭長ものには包茎・生理不順などが多く見られる。診察に応用される範囲は泌尿生殖系疾患のみならず、小腸や心臓の部分の疾患にも及ぼす。また、形態学において、性成熟期女性の子宮と人中との高い相関性を有する結論が付けられた調査研究は報告され、人体組織発生学上において人中と子宮との関連性が論議された。

【結語】古来の人中診法は今日の臨床診断に有効に応用され、なおさら鍼灸臨床では、人中穴の多岐的な臨床応用にも可能性が示唆された。ただし、evidence-based診察法だとすれば、さらなる測定手段の客観化・より大規模の症例収集と画像診断の照合に関する研究は重要であると考えられた。

李強:学会発表題目一覧(1992-2010年)

李強:学会発表題目一覧
(来日後)
1.津田久美、李 強、山口雄三、水谷充良、山田冨美雄:気功及び瞑想修練者のFmθ波について。1992.10.7-9,第22回全日本脳波筋電図学術大会,明治記念館

2.李 強、津田久美、山口雄三、水谷充良、山田冨美雄:気功及び密教瞑想の脳波的研究。1992.10.29-30,第19回日本脳研究会,岡山衛生会館

3.李 強、浅田 博、津田久美、山口雄三、水谷 充良、山田冨美雄:気功及び密教瞑想中のFmθ解析。1993.2.7,第15回Fmθ研究会,大阪府立大学学術会館

4.Qiang LI: Fm θ Wave Appearance in the Chinese Qigong and Esoteric Buddhist meditation.1996.3.15, 5th International Symposium on Qigong, Qigong Institute of Shanghai Traditional Chinese Medicine Academy, CHINA

5.李 強、浅田 博、松浦義昌、清水教永、山口雄三:脳波による気功瞑想の深度指標について。1999.9.23,第1回世界気功学会日本国際会議 ,名古屋和ガーデンパレスホテル

6.李 強、浅田 博、松浦義昌、清水教永、山口雄三:氣功と密教瞑想修練中の脳波theta waveについて。1999.10.18-19,第17回日本東方医学会,昭和大学

7.李 強、浅田 博、李 啓明:外氣施術に対する脳磁図(MEG)計測の試み。 2000.10.21-22,第18回日本東方医学会,東京科学技術館

8.李 強、鄭 賢国、施  毅、松浦義昌、清水教永:癌患者における舌診の臨床意義-中医学臨床文献考察。2000.10.21-22,第18回日本東方医学会,東京科学技術館

9.李 強:-経穴と異なったもう一つ腧穴系統-:中国小児推拿特定穴に関する考察を主として。2001.2.3,全日本鍼灸学会第20回近畿集会,奈良県文化会館

10.李 強:癌治療に関する中医舌診文献の考察。 2001.6.8-10,全日本鍼灸学会第50回学術大会,大阪国際会議場

11.李 強、松浦義昌、坪内伸司、李啓明、清水教永:少林内功の生理的動態に関する研究。2001. 8.25-26,国際生命情報科学会第12回シンポジウム,東京電機大学

12.李 強:腰椎間板ヘルニアに対する麻酔下推拿法について。2001,10.27-28,第3回スポーツ整復療法学会,大阪電通大学

13.松浦義昌、清水教永、李 強:中国推拿滾法による術者と被術者の生理反応について。2001,11.24-25,第19回東方医学会,科学技術館サイエンスホール

14.李 強:人中診法に関する中医文献の考察。2001,12.9,第21回全日本鍼灸学会近畿学術集会,和歌山県商工会議所

15.李 強、松浦義昌、坪内伸司、李啓明、清水教永:少林内功試行時の脳酸素代謝動態について。2002.3.1-2,国際生命情報科学会第13回シンポジウム,東京工業大学

16.李 強:内関穴における推拿刺激が激運動後の疲労回復に及ぼす影響――—血中乳酸値を指標としてー。2002.6.7-9,全日本鍼灸学会第51回学術大会,筑波国際会議場

17.松浦義昌、李 強、坪内伸司、川野裕姫子、清水教永:自己推拿が内省に及ぼす影響。2002.11.30,第20回東方医学会,科学技術館

18.李 強、松浦義昌、坪内伸司、清水教永:内関推拿刺激が呼吸循環器系機能に及ぼす影響。2002.11.30,第20回東方医学会,科学技術館

19.坪内伸司、松浦義昌、浜口雅行、清水教永、李 強、長谷川修一郎:身体障害者の健康維持を目的とした水中運動について。2003.1.25,第17回日本体力医学会近畿地方会,ビアザ淡海(滋賀県県民交流センター)

20.李 強、松浦義昌、坪内伸司、李啓明、串崎正輝、清水教永:少林内功站襠時の生理的変化について。2003.3.8-9,第18回臨床運動療法研究会,ぱるるプラザ岐阜

21.李 強、松浦義昌、坪内伸司、李啓明、清水教永:少林内功試行における熟練度が生理的反応に及ぼす影響。2003.3.15.-16,国際生命情報科学会第15回シンポジウム,東京電機大学

22.李 強:人中診法の中医文献的考察。2003,6,6-8,第52回全日本鍼灸学会学術大会,香川県県民ホール。

23.李 強:肩部疾患鍼灸RCT文献に対するEBM的吟味。全日本鍼灸学会研究部適応症委員会workshop-EBM鍼灸適応症を考える。司会:井上悦子、七堂利幸。2003,6,6-8,第52回全日本鍼灸学会学術大会,香川県県民ホール。

24.李 強、笹田三郎:日本按摩指圧療法的歴史沿革。(in Chinese)中国全国推拿学会第7回学術会議,2003,10,16-20,湖北省黄石市。

25.松浦義昌、李 強、林 典生、川野裕姫子、茅原聖治、田中良晴、坪内伸司、清水教永:内省報告から見た自己推拿の効果について(第2報)-――手技部位別知覚水準の性差について―――2003.11.15-16,第21回東方医学会,科学技術館

26.李 強:三種日本按摩古著学術述要。(in Chinese)2004.3.5,2004年上海市推拿学会年会,上海中華医学会講堂

27.李 強:RCTでのバイアスの見極めとチェックリストの応用。全日本鍼灸学会研究部適応症委員会workshop-EBM鍼灸適応症を考える。司会:井上悦子。2004,6,11-13,第53回全日本鍼灸学会学術大会,幕張メッセ国際会議場。

28.松浦義昌、李 強、李 啓明、林 典生、田中良晴、坪内伸司、清水教永:生理心理指標からみた気功の効果。2004.10.30-31,第22回東方医学会,科学技術館

29.李 強、趙 毅:利用網絡調査現存於日本的古代中日按摩医著的初歩結果。2005,4,1,上海推拿学会第9回学術年会,上海中医薬大学付属岳陽病院

30.坪内伸司、松浦義昌、濱口雅行、清水教永、李 強:生理指標からみた推拿刺激の疲労回復効果について。2006.2.5-6,第23回東方医学会,東京国際フォーラム

31.田中良晴、松浦義昌、李 強、清水教永:分子遺伝学から見た陰陽五行説。2006.2.5-6,第23回東方医学会,東京国際フォーラム

32.李 強、串崎正輝:運動学手法的歴史及基本原理(Introduction to Arthrokinematic Approach: Its History and Fundamental Mechanism) 2006,4,7,上海推拿学会第10回学術年会,上海市華東病院

33.坪内伸司、松浦義昌、李 強、田中良晴、濱口雅行、真耒省二、清水教永:生理心理学的指標からみた美容推拿の効果に関する研究。2006.8..5-6,第54回日本教育医学会大会,宮崎大学医学部

34.李 強:異なる運動負荷条件における内関穴推拿刺激(acupressure)が血中乳酸値に及ぼす影響。全日本鍼灸学会大阪地方会第14回学術集会,2006.9.24,森ノ宮医療学園専門学校講堂

35.李 強、李啓明、松浦義昌、坪内伸司、清水教永:近赤外線分光光度法測定少林内功練功時的脳O2代謝状態。(in Chinese)中国全国推拿学会第8回学術会議,2006,12,3-5,浙江省杭州市

36.李 強、于 思:現代医学から見た舌診の舌質と舌苔-中医文献の考察を主として-。2007.6-10,第56回全日本鍼灸学会学術大会,倉敷市民会館

37.于 思、尾崎朋文、李 強:疲れ目と眼球表面温度の関係について。2007.6-10,第56回全日本鍼灸学会学術大会,倉敷市芸文館

38.李 強、于 思:舌診臓腑配分の歴史変遷について。2007.12.2,第27回全日本鍼灸学会近畿学術集会,森ノ宮医療大学

39.李 強、于 思:舌診臓腑配分の歴史変遷について。2008.5.30-6.1,第57回全日本鍼灸学会学術大会,国立京都国際会館

40.于 思、成田眞和、尾崎朋文、李 強:中医学の「証」で疲れ目と眼球表面温度の関係について。2008.5.30-6.1,第57回全日本鍼灸学会学術大会,国立京都国際会館

41.李 強、于 思:中国小児推拿特定穴について。2009.11.21-22,第17回日本鍼灸史学会学術大会,京都アスニー会館

42.李 強:中国におけるFrontal theta rhythmに関する研究動向について。2010,2,27, 第32回Fmθ研究会,大阪梅田スカイビルイストタワ-36F会議室

43.于 思、成田眞和、李 強、尾崎朋文、安雲和四郎、森俊豪:うつ病の鍼灸治療。2010,6,11-13,第59回全日本鍼灸学会学術大会,大阪国際会議場

44.李 強、串崎正輝:中医診断学におけるFinger Ratio(FR)の有用性について。2010,8,7-8,第58回日本教育医学会,大阪府立大学

45.李 強:「鳳漢学説」の顛末:past and present. 2010,11,20-21, 第18回日本鍼灸史学会,京都会館

李強の学会発表題目一覧(来日前)

李強:学会発表題目一覧
(来日前)

1.范興発、李 強:推拿治療腰椎間盤突出症及其机制探討。1979.10.9,第一届中国手法経験交流学術大会,上海中医学院

2.李 強:美国按脊療法(Chiropractic)。1981.10.11,上海市中医学会推拿科学会年会,上海中華医学会大礼堂

3.李 強:推拿(Chriopractic)手法不当引起椎ー脳底動脉血栓症以及脳和脳幹梗塞的文献総述。1981.10.11,上海市中医学会推拿科学会81年会,上海中華医学会大礼堂

4.黄 嘉靜、李 強:中医按摩治療小兒先天性斜頸450例臨床観察。1986.5.7-9,上海中医藥国際会議,上海中蘇友好大厦

5.黄 嘉靜、李 強:中医按摩治療小兒先天性斜頸。1988.11.10-1,中国推拿学会第一届学術会議,上海空軍招待所

学会発表_2009_1_中国小児推拿特定穴に関する考察 ー経穴と異なるもう一つ腧穴系統ー

中国小児推拿特定穴に関する考察
ー経穴と異なるもう一つ腧穴系統ー
李 強、于思

第17回日本鍼灸史学会学術大会、2009年10月28‐29日、京都

【目的】中国小児推拿療法とは、小児の身体上の経絡や腧穴または罹患部位において特定の手技を行い、これらの物理的な刺激によって小児生体の調整機能を活性化し、身体の抗病能力を高め、防病治病の目的を果たせる、1種の治療法である。上海中医薬大学付属病院推拿科の臨床において、毎日外来で受診された約1/5の患者は子供であるということから、この療法の重要性と実用性が注目される。一方、小児推拿の臨床に使われる腧穴は、十四経穴と経外奇穴に加えて、「小児推拿特定穴」と呼ばれるものであり、これらの特定穴は小児推拿とある程度似ている小児鍼や鍼灸に用いられる経穴と異なった、小児推拿の独有なものと思われる。今回、小児推拿特定穴の基本コンセプトについて考察し、私見を加えて報告する。
【方法】今回の考察は、古典と現代小児推拿文献に記された小児推拿特定穴を対象にした。
【結果】1.穴数と分布 『小児推拿』に記載された157個の特定穴を部位別にしてみると、頭面部は31個、頸項部は3個、手部は70個、上腕部は10個、胸腹部は13個、脊柱部は11個、下肢部は19個、のようにそれぞれ全身の各部位に分布し、成人の経穴との違いが分かる。手技を操作する便利さをはかるためか、また生理反応のメカニズム上の理由により、多くの特定穴は頭面と四肢、特に手のような露出しているまたは露出しやすい部位に分布すると推測できる。2.形状 特定穴の形状としては、十四経穴と経外奇穴と同じような点状(acu-point)だけでなく、線状、面状のかたちも持っている。3.命名 特定穴の命名は、十四経穴と同じように一定の根拠がある。
【考察】示した結果のように、小児推拿特定穴の分布は成人腧穴とは別の系統のようである。これは小児の生理や病理上の特徴または神経生理の構造や働き、小児発達発育の段階などによるものである。中医学は、小児推拿の治効メカニズムが経絡にあると認識している。経絡そのものは本質的に結論に至らないが、神経系統と密接な関係を持っているのは間違いない。神経生理学では、小児の脳の発達や神経系統の形成は3歳くらいに完成すると考えられる。神経系統を基礎とする経絡の形成は3歳あるいはそれ以後の時期と考えるべきである。ゆえに、3歳以下の小児は成人と比べ未完成の経絡系統を持っていると思う。尚、小児推拿特定穴の帰経と属性に関しては、明清時代に刊行された30数種の小児推拿専門書は、特定穴を如何に帰経するか、またはその属性を如何に決めるかについて議論していたが、現代の医科学研究による成果は乏しく、未踏の領域である。
キーワード    小児推拿特定穴 腧穴 経穴 経絡

学会発表_2000_1_外気施術に対する脳磁図(MEG)計測の試み

第18回日本東方医学会演題
外気施術に対する脳磁図(MEG)計測の試み

李 強、浅田 博、李 啓明

目的
脳磁場計測(MEG:magnetoencephalography)とは、神経細胞活動に伴う微弱な磁場を、超伝導現象を利用したSQUID(Superconductuing QUantum Interference Device,超伝導量子干渉素子)と呼ばれる磁気センサーによって非接触的に計測を行うものである。頭皮上脳波と異なり、頭蓋骨・脳脊髄液・脳などの構成組織の伝導率の違いにより歪む容積電流の影響を受けないという特性があり、高度な空間分解能をもっており、電流源の推定が容易で正確であるとされており、近年注目を集めている。
一方、氣功は脳波の研究によって多くの研究成果が収められてきたが、脳磁図による脳神経活動の解析した研究はまだ殆どない。今回、我々はMEG計測の機会を得たので、氣功の外気を発する際と受ける際の脳神経磁場活動の記録を試み、α波の周波数変化の解析を手始めとして行った。

方法
被験者は、気功熟練者1名(Male, 54歳、training years 40年)を外気の送り手側、一般者1名(Male,44歳)を外気受け手側とした。2人とも神経系統の健常者であり、右利き手であった。
測定は磁気シールドルーム内で、122チャンネル(フィンランド、Neuromag社)のwhole head systemの磁気計を使用した。MEGは1台しかないので、2人を交代で計測した。

外気施術者のMEG計測では、施術者は座位にてMEGヘルメットを装着し、施術用の剣指に意識を集中する功法を用い、受け手側の印堂や合谷に各々5分間に氣を発する体の動きを伴わない静功を行ったときの脳磁場を記録した。外気受け手者のMEG計測は、逆に受け手者が座位でMEGヘルメットを装着し脳磁場を計測した。両者とも開眼であった。記録は両者共7分及びその前後の安静開眼時に行った。
記録の結果はOfflineで高速フ-リエ演算(Fast Fourier Transform, FFT)により、後頭部を中心に自発脳磁場のα波周波数変化の検討を行った。

結果と考察
外気施術者、受け手とも施術前のα脳磁場出現量に対し、施術中は全体として増加が認められたが、ピーク周波数が低下する傾向がみられた。また受け手では、印堂への発気においてこの脳磁場変化は大きかったが、合谷への発気では変化はあまり見られなかった。今回のMEG計測では、全体として外気施術時の磁場α波の変化に脳磁場特有の変化は今のところ見出されていない。脳磁場は基本的には脳波と同じく、神経細胞由来の電気現象を異なった側面から観察しているだけとも言える。しかし、非接触に無侵襲に測定でき、脳波に比べ組織に影響されずに細胞内電流による磁界を測定しており、空間分解能と時間分解能が優れており、高周波に至るまで歪みなく記録できる利点がある。今後さらに被験者を増やし、解析周波数範囲等を広げて、「気」の存在に対する脳磁場からの検討を行いたい。

Key Words: MEG・気功外気・脳機能・脳神経活動源

学会発表_1999_1_脳波による氣功瞑想の深度指標について

脳波による氣功瞑想の深度指標について
An EEG Study on the Depth Index of
Chinese Qigong and Esoteric Buddhist Meditations

李 強、浅田 博、松浦 義昌、清水 教永、山口 雄三

1999.9.23 第1回世界気功学会日本国際会議

はじめに
今までの瞑想深度に関する研究について、Banquet(1972)、山崎ら(1982)、孫らなどの報告は取り上げられる。我々は、これらの見解を踏まえて、氣功瞑想時に出現したθrhythmを注目し、新しい瞑想の深度指標の考案を試みた。

実験方法
氣功及び密教瞑想修練者各3名を実験対象とした。密教瞑想修練者が、「阿字観」という修行方法に従って貰い、氣功修練者の場合は、意識を集中するか調息を主とする静功功法を用いた。記録は両者共40分及びその前後の安静閉眼時に行った。瞑想中のθRhythmの判定基準については、Fzから出現したθRhythmのうち、背景脳波より明らかに高い振幅を示し、持続時間が1秒以上のものとした。脳波の分析については、周波数、加算平均パワー値を分析し、αとθ波のpower spectrumを推定し、Fz-Fp1-C3-O1、Fz-Fp2-C4-O2大脳半球内誘導部位、Fz-F7-F8大脳半球間誘導部位にて各電極間Fmθの出現の時間関係を、cross power spectrumのpeak周波数での位相差とCoherence値を求めた。

実験結果
1例密教瞑想修練者は、rest時のFzで周波数がほぼ6.5-7.0Hz前後、持続時間がやや3秒のFm burstが見られた。瞑想開始後39分目の脳波記録では、Fzでの波形の振幅が大きくなり、周波数が約6.5Hz、持続時間が10秒前後のFmθ burstが出現した。一方、1例氣功修練者の場合、瞑想の時間的推移によりFzの周辺に安静閉眼時に既に出現しているFmθの増加が徐々に著明となる。α波に関しては、1例の氣功修練者は、氣功中において、α1成分が後頭部から前頭部へ優勢に広がっていく傾向がある。密教瞑想修練者1例の場合、瞑想の進行にと共に徐々にFzに約6-7Hz power peakが著明に出現してくるのが認められた。また、この例では、Fz、Pz、C3、C4において、10Hzを中心とするα波のpeakが見られたことから、瞑想中ではFmθとともに、α波の成分も増大していることがわかる。1例の氣功修練者の脳波では、矢状列方向の電極間で、位相の伝播方向は、rest中前頭部から後頭部へで、瞑想中後頭部から前頭部へ向くことがみられ、cohrenceは瞑想中のほうが高くなった。

考察
今回の実験の結果によると、瞑想中、(1)θrhythmの出現率の値の大きさ(2)α波の広がりの有無(3)呼吸数などの生理指標の変動(4)左右半球活性活動の変動(5)各電極間の時間関係の変動などが氣功瞑想深度の段階づけの有力な指標であるという結論が導かされると思っている。また、1例の氣功修練者の場合は、瞑想中にβ波が氣功の深い段階で現した。β波も瞑想深度の段階付けの1つ有力な指標であろうと思われる。

学会発表_2002_1_内関穴における推拿刺激が激運動後の疲労回復に及ぼす影響

全日本鍼灸学会第51回学術大会,2002/06/7-9.つくば国際会議場

内関穴における推拿刺激が激運動後の疲労回復に及ぼす影響
   ー血中乳酸値を指標としてー

 李 強

key words: 推拿、内関穴、血中乳酸、運動負荷、疲労回復

【目的】競技スポーツについて、より短い休息時間を挟んで2回乃至数回の競技を行われる種目がある。これらの種目においては、休息中にいかに速く疲労を回復させるか、ということがスポーツトレーナーとして重要な課題となる。一方、激運動を行うと、筋活動で乳酸が産生され、筋疲労が生じる。西洋流のマッサージが筋肉へ刺激して乳酸の除去を促進できるという報告がある。本研究は、血中乳酸値を指標として、内関穴への推拿刺激が運動後に速かに疲労を回復させる手段となり得るかを検討した。

【方法】 被験者は某公立大学アメリカンフットボール部に所属する男子大学生10名とし、実験の趣旨を説明し参加に同意を得た。また、メディカルチェックにより全員が健康状態(特に呼吸循環系)にあることを確認した。各被験者にトレッドミル(西川鉄鋼社製:TREAD-MIL:NT-12)を用いて運動負荷試験を行った。実験手順として、安静期(5分)、80%HRmaxの運動負荷期(18分)、回復期(20分)に設けられ、被験者を推拿群とコントロール群に分けられ、実験を実施した。推拿刺激としては、強度1.5 kg、頻度120 time/minの拇指按揉法で被験者の左上肢の内関穴に5分間行った。血中乳酸値を各期直後及び回復期の10分後・20分後に測定した。血中乳酸濃度は、ラクテート・プロ(京都第一科学社製:LT-1710 TM)を用いて指尖部より採血を行い測定した。実験中に血中乳酸値の以外に、HR、RR、BPも測定し、運動時に主観的運動強度(RPE)も回答させた。各被験者はすべての実験を再現性の確認のため2回ずつ行った。

【結果と考察】コントロール群の無推拿刺激安静期の血中乳酸の平均値は2.1±0.78 mmol/l、推拿群の有刺激安静期は1.7±0.50 mmol/lであった。有意差(P<0.05)を示した。推拿刺激条件での運動負荷時及び回復期については、血中乳酸値や筋肉の作業能力の回復を早める傾向が見られるものの、有意差は認められなかった。運動時における内関穴への推拿刺激が血中乳酸に及ぼす効果を特定するのは、今後さらなる検討が必要であることが示唆された。

http://www.jsam.jp/meeting/pdf/ibaraki_4.pdf

学会発表_2001_1_腰椎椎間板ヘルニアに対する麻酔下推拿法について

第3回スポーツ整復療法学会演題発表, 2001,10,27,大阪電通大学図書館小ホール

腰椎椎間板ヘルニアに対する麻酔下推拿法について
李 強

Key words: 腰椎椎間板ヘルニア、中国推拿、麻酔下推拿法、文献レビュー、EBM

【目 的】
1934年にMixterとBarrは、初めて椎間板ヘルニアの臨床的意義を明確にした。その以来、腰椎椎間板ヘルニアに対して多くの保存療法または手術療法が開発されてきた。Manipulation Under Anesthesia(MUA)は、保存療法の1つ手段として使われている。中国において、古来の推拿手技と西洋医学の麻酔方法に結びつけ、麻酔下推拿(Tuina Under Anesthesia)が開発され、腰椎椎間板ヘルニアを治療する保存療法の1つとして広く使われ、よりよい治療効果が得られている。本研究は、中国に発表された麻酔下推拿法による腰椎椎間板ヘルニアの治療に関する文献をEBMの観点より検討することにした。

【方 法】
本研究は、中国の「中医薬文献数据庫」や「生物医学数据庫」などの中医学術情報データベースを利用し、過去10年間の麻酔下推拿法による腰椎椎間板ヘルニアの治療に関する文献を検索し、検索された文献をEBMの観点より検討し、文献の信頼性評価(批判的吟味)を加え、その麻酔様式、推拿手技、術後処置、臨床効果、適応症や禁忌症などについて、システマティック・レビューを行ったものである。

【結 果】
1)麻酔様式
麻酔の様式は、①全身麻酔②腰神経根ブロック③仙骨管硬膜外ブロック④ハリ⑤鎮痛剤静脈注射⑥腰椎関節突起ブロック⑦硬膜外腔点滴、という7種類が用いられた。

2)推拿手技
「三歩八法 (Eight Techniques with Three Postures)」が使われていた。

3)推拿後処置
推拿後、硬い板を敷いたベッドで1週間仰臥させる。退院した後、非麻酔の推拿を受け、腹筋・背筋の強化を中心とする腰部機能訓練を指導する。術後の2~3ヶ月間に腰にコルセットをつける必要がある。

4)臨床効果
麻酔様式で治効を検閲した。治癒平均値は43.83%、著効平均値は42.35%、有効平均値は9.94%、無効平均値は3.86%であることが分かった。各組の治癒率を見ると、硬膜外麻酔方式の方がよいとされ、さらに、硬膜外麻酔による麻酔下推拿で1回のみの治癒率は33.90%の好結果に達した報告もあった。入院日数は平均14.7日であった。

5)適応症と禁忌症
麻酔下推拿の適応症は、非中央型腰椎間板ヘルニアである。但し、非中央型であっても、神経根損害徴候(筋力減退・痛覚消失・反射障害)を伴い、腰部脊柱管狭窄症を合併し、なお、高齢者の場合には適応しない。広義の麻酔下推拿の禁忌症は、腫瘍、結核、化膿性感染症、脊椎すべり症、骨粗鬆症、心臓病、高血圧症、出血性疾患および脊柱骨質的病変となっている。

【考 察】
椎間板病変の病態変化は、①椎間板退行性変化、②椎間板膨出、③椎間板突出、④椎間板脱出、⑤椎間板破出、⑥椎間板遊離、という6種類に分類できる。麻酔下推拿は前3者に適用し、好効果が得られるが、椎間板脱出した場合には適用するものではない。麻酔下推拿の成績を左右する因子としてはヘルニア高位、ヘルニア脱出型、年齢、術前の症状、麻酔様式、推拿手技の熟練さ、術後の看護、術後の機能訓練などが考えられる。そして、麻酔の効果によって、患者の筋肉は完全に弛緩され、推拿手技を要領通りに完成することも可能となる。この点においては、普通の推拿より麻酔下推拿の方が大きなメリットをもつところである。しかし、入院の必要性、麻酔の危険性、局所麻酔薬の中毒性、筋肉が完全に弛緩の状態で推拿手技を行うことによって骨折・筋肉・椎間板・神経根に人為的な損傷を負わせる可能性などを総合して考えると、普通推拿にもメリットがあるといえる。

【結 論】
適応症と治療アプローチについて、日本の柔整医学とある程度似ている中国推拿医学は正規の中医薬大学で専門医を養成する学部を設けられ、卒業生を医師として推拿療法から観血療法までの広い範疇の中で、医療行為が行われ、推拿療法を学問の1つとして研究・応用されているのは現状である。これら医療事情を見ると、日本の柔整医学界はきっと何かヒントが得られるかと思う。