学会発表_2001_2_人中診法に関する中医文献の考察

人中診法に関する中医文献の考察

李 強

2001,12.9,第21回全日本鍼灸学会近畿学術集会,和歌山県商工会議所

【目的】人中部、別名水溝、鼻下。『霊枢・五色』には「面王以下者、膀胱子処也」「唇厚人中長以候小腸」という記載がある。中医望診において、人中部の形態・色沢などを観察して体内の疾病を推察・診断する方法を人中診法という。中国では人中診法に関する研究発表は散在でありながら、注目すべき成果が挙げられる。一方、日本鍼灸界では人中穴を用いて臨床治療に応用するのは大多数であるが、望診の1部位とされる研究報告は稀のようである。本研究は、中医学文献データベースを利用して、人中診法に関する文献を検索し、その結果をまとめ、私見を加えて報告する。

【方法】「中国中医薬文献数据庫」をonlineして、人中診法というキーワードを用い、この20年間発表された文献を検索し、検索された文献を検討し、文献の信頼性評価を加え、システマティック・レビューを行った。

【結果と考察】人中の色沢・長さ・深浅・しわと隆起の有無を望診する。この中、人中の長さは診察指標として多く応用されている。人中短浅ものには不妊症・インポテンスなど、人中狭長ものには包茎・生理不順などが多く見られる。診察に応用される範囲は泌尿生殖系疾患のみならず、小腸や心臓の部分の疾患にも及ぼす。また、形態学において、性成熟期女性の子宮と人中との高い相関性を有する結論が付けられた調査研究は報告され、人体組織発生学上において人中と子宮との関連性が論議された。

【結語】古来の人中診法は今日の臨床診断に有効に応用され、なおさら鍼灸臨床では、人中穴の多岐的な臨床応用にも可能性が示唆された。ただし、evidence-based診察法だとすれば、さらなる測定手段の客観化・より大規模の症例収集と画像診断の照合に関する研究は重要であると考えられた。

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