学会発表_2009_1_中国小児推拿特定穴に関する考察 ー経穴と異なるもう一つ腧穴系統ー

中国小児推拿特定穴に関する考察
ー経穴と異なるもう一つ腧穴系統ー
李 強、于思

第17回日本鍼灸史学会学術大会、2009年10月28‐29日、京都

【目的】中国小児推拿療法とは、小児の身体上の経絡や腧穴または罹患部位において特定の手技を行い、これらの物理的な刺激によって小児生体の調整機能を活性化し、身体の抗病能力を高め、防病治病の目的を果たせる、1種の治療法である。上海中医薬大学付属病院推拿科の臨床において、毎日外来で受診された約1/5の患者は子供であるということから、この療法の重要性と実用性が注目される。一方、小児推拿の臨床に使われる腧穴は、十四経穴と経外奇穴に加えて、「小児推拿特定穴」と呼ばれるものであり、これらの特定穴は小児推拿とある程度似ている小児鍼や鍼灸に用いられる経穴と異なった、小児推拿の独有なものと思われる。今回、小児推拿特定穴の基本コンセプトについて考察し、私見を加えて報告する。
【方法】今回の考察は、古典と現代小児推拿文献に記された小児推拿特定穴を対象にした。
【結果】1.穴数と分布 『小児推拿』に記載された157個の特定穴を部位別にしてみると、頭面部は31個、頸項部は3個、手部は70個、上腕部は10個、胸腹部は13個、脊柱部は11個、下肢部は19個、のようにそれぞれ全身の各部位に分布し、成人の経穴との違いが分かる。手技を操作する便利さをはかるためか、また生理反応のメカニズム上の理由により、多くの特定穴は頭面と四肢、特に手のような露出しているまたは露出しやすい部位に分布すると推測できる。2.形状 特定穴の形状としては、十四経穴と経外奇穴と同じような点状(acu-point)だけでなく、線状、面状のかたちも持っている。3.命名 特定穴の命名は、十四経穴と同じように一定の根拠がある。
【考察】示した結果のように、小児推拿特定穴の分布は成人腧穴とは別の系統のようである。これは小児の生理や病理上の特徴または神経生理の構造や働き、小児発達発育の段階などによるものである。中医学は、小児推拿の治効メカニズムが経絡にあると認識している。経絡そのものは本質的に結論に至らないが、神経系統と密接な関係を持っているのは間違いない。神経生理学では、小児の脳の発達や神経系統の形成は3歳くらいに完成すると考えられる。神経系統を基礎とする経絡の形成は3歳あるいはそれ以後の時期と考えるべきである。ゆえに、3歳以下の小児は成人と比べ未完成の経絡系統を持っていると思う。尚、小児推拿特定穴の帰経と属性に関しては、明清時代に刊行された30数種の小児推拿専門書は、特定穴を如何に帰経するか、またはその属性を如何に決めるかについて議論していたが、現代の医科学研究による成果は乏しく、未踏の領域である。
キーワード    小児推拿特定穴 腧穴 経穴 経絡

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