学会発表_2000_1_外気施術に対する脳磁図(MEG)計測の試み

第18回日本東方医学会演題
外気施術に対する脳磁図(MEG)計測の試み

李 強、浅田 博、李 啓明

目的
脳磁場計測(MEG:magnetoencephalography)とは、神経細胞活動に伴う微弱な磁場を、超伝導現象を利用したSQUID(Superconductuing QUantum Interference Device,超伝導量子干渉素子)と呼ばれる磁気センサーによって非接触的に計測を行うものである。頭皮上脳波と異なり、頭蓋骨・脳脊髄液・脳などの構成組織の伝導率の違いにより歪む容積電流の影響を受けないという特性があり、高度な空間分解能をもっており、電流源の推定が容易で正確であるとされており、近年注目を集めている。
一方、氣功は脳波の研究によって多くの研究成果が収められてきたが、脳磁図による脳神経活動の解析した研究はまだ殆どない。今回、我々はMEG計測の機会を得たので、氣功の外気を発する際と受ける際の脳神経磁場活動の記録を試み、α波の周波数変化の解析を手始めとして行った。

方法
被験者は、気功熟練者1名(Male, 54歳、training years 40年)を外気の送り手側、一般者1名(Male,44歳)を外気受け手側とした。2人とも神経系統の健常者であり、右利き手であった。
測定は磁気シールドルーム内で、122チャンネル(フィンランド、Neuromag社)のwhole head systemの磁気計を使用した。MEGは1台しかないので、2人を交代で計測した。

外気施術者のMEG計測では、施術者は座位にてMEGヘルメットを装着し、施術用の剣指に意識を集中する功法を用い、受け手側の印堂や合谷に各々5分間に氣を発する体の動きを伴わない静功を行ったときの脳磁場を記録した。外気受け手者のMEG計測は、逆に受け手者が座位でMEGヘルメットを装着し脳磁場を計測した。両者とも開眼であった。記録は両者共7分及びその前後の安静開眼時に行った。
記録の結果はOfflineで高速フ-リエ演算(Fast Fourier Transform, FFT)により、後頭部を中心に自発脳磁場のα波周波数変化の検討を行った。

結果と考察
外気施術者、受け手とも施術前のα脳磁場出現量に対し、施術中は全体として増加が認められたが、ピーク周波数が低下する傾向がみられた。また受け手では、印堂への発気においてこの脳磁場変化は大きかったが、合谷への発気では変化はあまり見られなかった。今回のMEG計測では、全体として外気施術時の磁場α波の変化に脳磁場特有の変化は今のところ見出されていない。脳磁場は基本的には脳波と同じく、神経細胞由来の電気現象を異なった側面から観察しているだけとも言える。しかし、非接触に無侵襲に測定でき、脳波に比べ組織に影響されずに細胞内電流による磁界を測定しており、空間分解能と時間分解能が優れており、高周波に至るまで歪みなく記録できる利点がある。今後さらに被験者を増やし、解析周波数範囲等を広げて、「気」の存在に対する脳磁場からの検討を行いたい。

Key Words: MEG・気功外気・脳機能・脳神経活動源

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です